幻の花、「サガリバナ」
サガリバナという南国の花をご存知でしょうか。東南アジアから太平洋の島々に群生する常緑性の高木で、日本では南西諸島で見ることができます。花が枝からたれ下がって咲くのでサガリバナ。湿気の多い場所を好むので、川岸などで多く見ることができます。
その花は、ほわっと薄紅色をした中心部からまるで花火のように無数の白い糸が放射状に伸びた姿をしています。この白い糸状のものは、花びらではなく実は雄しべ。花びらは付け根に4枚あるのですが、主役はこの無数の雄しべです。
夜に開花し、芳香を放って虫を誘います。「花の命は短くて」をその通りに実践している花で、咲いた翌日の午前中には咲いた姿のまま落ちてしまいます。
つまり、日中には見ることのできない幻の花なのです。夜に咲いて一晩しかもたない一夜花。でも、次から次へと咲くので、この日限りということではないのでご安心を。
川沿いに自生している群落では、咲いている姿のまま、水面を流れていゆくたくさんのサガリバナが、優雅で幻想的な風景を見せてくれるので、開花シーズンに組まれる鑑賞ツアーが人気です。
いつどこで見られるの?
サガリバナは、マングローブジャングル内の一定の条件がそろった場所に群生するといわれます。このため、旅行者だけで有名な群生地に行く、というのではなく、ツアーに参加して地元のガイドに案内してもらうというのが一般的です。開花時期は初夏。6月下旬から7月下旬です。
咲いている姿を見たい、という方は夜のツアーに参加しましょう。密集して咲く多数の花は見事の一言です。絶滅危惧種に指定されているヤシガニに出会えるかもしれません。何といっても夜のジャングルツアーというだけでも参加する価値があります。
咲いているサガリバナを川から見たいという方はカヌーのツアーに参加しましょう。群生地に近づくとバニラのような甘い香りが漂ってきます。
陸で見るにしろ、川から見るにしろ、夜のサガリバナには虫が寄ってきます。長袖の衣類や防虫スプレーなどを用意しておくのが良いでしょう。
サガリバナが落ちるところ、水面を漂うたくさんのサガリバナを見たいという方は早朝クルーズに参加しましょう。咲いているところも見事ですが、水に浮かぶ花の姿は儚く美しいのです。
散りはじめの時刻に間に合うように、早朝4時前から5時過ぎ出発というツアーが多いので、朝が苦手な方はちょっと苦労するかもしれません。でも、幻の花を見るためです。前夜は早めに休んで早起きに備えましょう。
ツアーによっては宿に迎えに来てくれるのではなく、指定場所に各自集合という場合もあるので、自前のアシがない場合はツアーを選ぶ際に注意が必要です。
西表島は希少動植物の宝庫
サガリバナは西表島でしか見られない花というわけではないのですが、サガリバナを見るなら西表島が人気のようです。
ところで、「イリオモテヤマネコ」に代表されるように、西表島は希少動物の宝庫です。西表島だけに生息する動植物(いわゆる「固有種」というやつ)も数多いということをご存知でしょうか。
植物の固有種としては、ランの仲間であるイリオモテトンボソウ、モクセイの仲間イリオモテヒイラギ、ユキノシタの仲間ヤエヤマヒメウツギなどがあります。
動物の固有種ではやはりイリオモテヤマネコが有名ですね。特別天然記念物です。他にもカンムリワシが特別天然記念物に指定されています。ツアーの途中でこうした希少動植物に出会えるかもしれません。
まとめ
サガリバナの花言葉は「幸運が訪れる」だそうです。夜のジャングルをかき分け、あるいは眠い目をこすりつつ早朝の川をさかのぼって「幸運の訪れ」をもたらしてくれる幻の花に会いに行ってみませんか。
(画像は写真ACより)